埋蔵文化財発掘レポート
かご形土器
 現代でも陶芸というと粘土の塊から少しずつ形を整える方法や、紐状の粘土を積み重ねる方法、そしてロクロを使うのが一般的です。縄文・弥生時代の土器もロクロこそ使ってはいませんが、大半はこのような作り方でした。しかし、その他にも型に粘土を押し当てて作られた土器も出土しています。
 その型にはヒョウタンや他の丸底の土器のほか、竹などで他の編んだカゴも使われました。カゴを型に使った例としては、古いものでは茨城県木原遺跡から縄文時代のものが出土していますが、出土例は少なく、これまでに全国でも数十個しか発見されていません。大阪府下では藤井寺市の国府遺跡から弥生時代のものが、茨木市の東奈良遺跡から古墳時代のものが知られているだけでしたが、富田林でもこのようなかご形土器が発見されました。出土したのは一月号でも紹介した弥生時代から古墳時代にかけての集落跡、彼方遺跡です。
 この土器はカゴの内側に粘土を押し付けて作っているため土器の外側はカゴの網目がはっきりとついています。口の部分は丸く、直径14センチ、底の部分は正方形で一辺4ミリ、深さ約9センチ、全体に明るい茶色の角底の中鉢で、内側は竹べらか丸石でなでていて、きれいな仕上がりになっています。
 型になったカゴは幅3ミリ前後の竹ヒゴで、底を網代に組みその端を周辺にのばして側面の堅芯にし、これに別の別の幅1ミリ前後の竹ヒゴを横芯として編み込んでいます。編み込み方堅芯の前後を編み芯である横芯が通るザル編みと呼ばれている方法と、ねじりながら編み進めていく縄編みと呼ばれている方法で作られています。精巧な竹細工の技術が古い時代から発達していたことが分かります。
 このようなかご形土器は、比較的簡単に同じ形のものが作れ、見た目も美しいので大量に作られそうなものですが、一般的な製法の土器に比べてほんのわずかな出土例しかありません。
 カゴ細工の技術が連綿と受け継がれてきたのに対し、かご形土器の製法はどうして広がらなかったのか古代の謎の一つです。
(平成6年4月号)