埋蔵文化財発掘レポート
鉄斧を持つ集落
 10月の初旬から下旬までのおよそ1か月間、川西駅の南東に広がる甲田南遺跡を調査しました。ここでは現水田面より約30センチのところで弥生時代の竪穴住居とは地面を数十センチ掘り下げた半地下構造の家です。通常、直径または一辺が5〜10メートルの円形あるいは方形をしています。すぐ南には国道309号線が通っていますが、道路工事に先立つ調査でも竪穴住居群が見つかっています。さらに調査地の東側でもマンション建設に先立つ調査をした結果、竪穴住居群や方形周溝墓という弥生時代のお墓も見つかっています。これらから、この辺り一帯が古くからの集落跡だったと考えられます。
今回の調査では竪穴住居跡から、鉄斧が見つかりました。国道309号線の調査の時にも今回と同様の遺物が出土しています。
 鉄斧は、大きく2種類に分類されます。一つは板状部分の一辺に刃をつけただけの板状鉄斧と、柄に装着するための袋部を持つ袋状鉄斧の2種類に分かれます。今回の調査で見つかったのは前者の板状鉄斧です。大きさは全長約9センチ、刃幅が約5センチ前後あります。この用途は、加工用だったと考えられます。
 鉄器は弥生時代に朝鮮半島から伝わりました。当時の道具の主流は石製品でしたが、鉄器の出現によって飛躍的な発展を遂げました。しかし、鉄は当時貴重品で、これを持っていた甲田南遺跡の弥生集落は、先進的なムラであったと言えるでしょう。
(平成5年12月号)