埋蔵文化財発掘レポート
100万年前の楽園
 富田林市の中心を流れる石川は、今も清らかな水の流れを保っています。
 この石川の河床で約100万年前のゾウやシカの足跡化石が見つかったのは、3年前のことです。府立富田林高校理化部の顧問の先生と生徒たちが石川の河床にあるのを見つけました。そして、昨年の夏には、市教育委員会とともに府下の高校生を中心に大学生、研究者などが集まって富田林市石川化石発掘調査団を結成し、富田林市の援助で小規模な調査を行いました。このときは、ゾウやシカなどの偶蹄類(偶数のひづめをもつ動物)の明瞭な足跡化石をはじめ、ゾウとウシと思われる足跡の連なり(行跡)がはじめて見つかり、話題になりました。
 調査は、7月22日から8月24日まで行い、昨年の5倍の面積の約600平方bを延べ900人で発掘しました。その結果、アケボノゾウ、シカマシフゾウ(大型のシカ)やカズサシカと思われる行跡とたくさんの足跡化石が見つかりました。そして、数10本の立木の化石、その間を流れる小さな流れ、さらに立木の間を抜け、流れを飛び越えて歩いた大型のシカ(シカマシフゾウ)の鮮明な足跡化石が同じ時代の面で発見されました。このような例は、日本で初めてのことです。
 このことから、約100万年前の富田林は、現在のような温暖な気候で、哺乳動物たちが生息していた楽園だったといえます。
(平成3年10月号)