埋蔵文化財発掘レポート
シルクロードから来た玉?
 平成13年、廿山の丘陵上で古墳が発見されました。廿山南古墳と名付けられたこの古墳は、未盗掘の直径約22メートルの円墳で、調査の結果、土師器や須恵器、刀や馬具などの鉄製品、アクセサリーと考えられる玉類といった副葬品が出土しました。須恵器の形状などから、6世紀中ごろの古墳だと考えられています。
 また、出土状況の細かい観察で、副葬品を納めるうえでの時間的な流れがある程度解明できました。
 このとき出土した玉の中に、直径3ミリほどの小さなガラス玉がいくつか連なった形態のものがあります。昨秋、府立近つ飛鳥博物館から展示の依頼を受けた際に、再度鑑定を行ったところ、珍しい製法で作られたものであることが分かりました。
 この種類の玉は、銀層ガラス連玉と呼ばれるもので、芯を通した細いガラス管に銀箔をはり、その上に太いガラス管を被せてから熱し、引き伸ばして成形するという非常に高度な技法で作られています。
 拡大したレントゲン写真で見てみると、ガラスとガラスの間に空間があり、薄い金属箔のあることが分かります。また、放射線による分析で銀の成分が含まれることから、この金属箔が銀であることが分かりました。廿山南古墳ではこの銀層ガラス連玉が9点以上出土しました。
 銀箔のほかに、金箔を用いるなど同様の技法で作られたものはこれまでも各地で見つかっていますが、廿山南古墳から出土したものとよく似た銀層で小型のものは、これまでに滋賀県野洲市の宮山1号墳で出土例があるだけです。
 中国や韓国などでも出土例はありますが、日本はもとより東アジアでは生産に関わる遺跡は見つかっておらず、このような精密な玉を製造できるだけの技術は、地中海から西アジアにあったという研究結果もあります。
 この小さなガラス玉もシルクロードを通って極東のこの地まで、はるばると運ばれたものだったのかも知れません。
(平成18年2月号)