埋蔵文化財発掘レポート
富田林のあけぼの
 いつ頃から富田林に人々が住み始めたのか、今のところはっきりとわかっていません。しかし、少なくとも1万5000年くらい前に誰かが生活していたことは確かで、彼らが使っていた石器が見つかっています。
 1981年、中野遺跡で出土した石器は、富田林にも旧石器時代から人間が住んでいたことを裏付けました。旧石器は石を打ち欠いたままの石器で、今から約1万年前まで使われていました。このとき出土したのはナイフ形石器と呼ばれる石器2点と、その素材となる縦長剥片(たてながはくへん)で、いずれも二上山で採れる安山岩(サヌカイト)を原料にしていますが、表面は風化して白くなっていました。ナイフ形石器は形がナイフに似ていますが実際にはどのようにして使っていたのか、はっきりわかっていません。最近は電子顕微鏡などで使用痕の観察なども行われるようになってきているのでナイフ形石器の機能がわかる日も近いでしょう。
 この中野遺跡の発掘調査と相前後して、喜志遺跡・新家遺跡でも旧石器が発掘されました。
 富田林の歴史のあけぼのが、今ようやくその輝きを現しはじめています。
(昭和61年1月号)