埋蔵文化財発掘レポート
宮林古墳出土のてつぞく
 前回紹介した宮林古墳からは、鉄鏃(てつぞく)が15本出土しています。
鉄鏃とは、鉄製のやじり、すなわち、矢の先端にとりつけられる鋭い矢先のことです。矢の本体部分である矢柄(やがら)や弓は腐ってしまったのか、見つかりませんでしたが、鉄鏃の近くにうるしの痕跡があり、これが弓に塗られていたものとも想像できます。この鉄鏃の出土によって、4世紀後半という宮林古墳の築造年代が明らかになりました。
 この鉄鏃と非常に似た形の銅鏃(どうぞく)が出土している古墳があります。宮林古墳から南西約1キロメートルのところにある廿山古墳(前方後円墳)がそれです。おそらく、この二つの古墳に葬られた人は、何らかのかかわりを持っていたと思われます。その関係がどんなものであったかを決定する資料はまだ見つかっていませんが、いずれにしても、かつて甲田・錦織で一族を率いていた二人が、自分の勢力地域を見おろす丘の上に眠っていたということが、一連の調査によってはっきりしたわけです。
(昭和60年10月号)