わたしのまちの文化財
南甲田のチリンサン
 南甲田集会所の筋向かいにある坂に、地元では昔から「チリンサン」と呼ばれている場所があり、そこには複数の小さな丸い河原石が積み上げられています。
 今は河原石が集めてあるだけですが、昔はこのような石を小さなほこらの中にたくさん納めて祭っていたそうです。写真の積み上げられた二つの石の山の間にある小さな家のようなものは、かつて石を納めていたほこらを表しているとのことです。
 また、このチリンサンのある坂は昔から「チリンサンの坂」と呼ばれていました。この坂には神様がいるといわれていて、今でも地元にはお葬式の際には決して通ってはいけないというしきたりが残っています。「チリンサン」という名前の由来については分かっていません。
 このように小さな丸い石をほこらに納めて祭られているものは、南甲田のチリンサン以外に、市内では佐備神社と西板持にある板茂神社で見つけることができます。佐備神社と板茂神社では「チリンサン」ではなく、「塞の神さん」と地域の人たちに呼ばれており、子どもを守ってくれる神様だともいわれています。
 現在、確認できているのはこの3つだけですが、市内にまだ存在している可能性があります。あるいは市内に限らず、もっと広い地域に共通して祭られているかもしれません。というのも、元は同じ信仰の対象であっても、長い年月のうちに地域によって違う名前で呼ばれたり、祭られ方が異なったりした可能性があるからです。
 このように、いわれや由来が分からなくなったり、名前や祭られ方が変わったりしていても、地元の人たちに親しまれ、大切に守られている文化が身近なところに存在しているのです。
(平成22年10月号)