わたしのまちの文化財
天然記念物
 文化財保護法では、文化財の種類のひとつとして、天然記念物の規定があり、現在980件が指定されています。そのなかでも特に重要なものについては「特別天然記念物」として厳重に保護されており、その数は75件にのぼります。アホウドリやイリオモテヤマネコ、オオサンショウウオ、コウノトリ、トキといった生き物の名前を、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
 兵庫県豊岡市は、特別天然記念物「コウノトリ」の生息地として知られています。コウノトリは国際的にも絶滅が心配される希少な鳥で、野生ではロシアのアムール川中流域や中国の黒龍江省などに2〜3千羽が生息するのみです。
 両翼を広げると2メートルになる大型の鳥で、一見ツルにも似ていますが、生態的にはサギやトキなどと同じ仲間です。水田や湿地、河川などの水辺を好み、魚やカエルなどを食べます。
 本来は渡り鳥で、繁殖地である極東地域から、越冬地の東アジアなどの間を渡っています。江戸時代までは北海道以外の日本各地にも渡っていましたが、明治以降の乱獲と生息環境の悪化により、そのほとんどが姿を消してしまいました。しかし、豊岡市周辺は生息に適した自然環境とコウノトリを大切に扱う風潮があったことから、国内唯一の生息地として残りました。そして、昭和31年に国の特別天然記念物に指定されました。
 その後、市民と行政とが一体となって本格的な保護活動と人工飼育に取り組みましたが、繁殖は思うように進みませんでした。しかし、60年にロシアから連れてきたコウノトリの中からようやく2羽の繁殖に成功しています。その後、毎年繁殖に成功し、これまでに100羽を越えるコウノトリを飼育しています。数年前からは、野生に帰す試みも始められ、元気に空を舞う姿も見られるようになりました。最近では奈良や京都などにも飛来しており、その追跡調査も実施されています。
 都市化が進んだ大阪では天然記念物に指定された動植物を目にすることはめったにありませんが、本市では、62年にオオサンショウウオが発見されたことがあります。もし、このような絶滅が心配される動植物などを発見したら、無理に追いかけたり捕まえたりしないで、その特徴などを観察したうえで文化財課までご連絡ください。
(平成20年11月号)