わたしのまちの文化財
登録文化財 岩根家住宅
 今年4月18日付けで岩根家住宅(五軒家二丁目)の主屋、奥座敷、酒蔵の各建物が国の登録有形文化財に登録されました。当家は五軒家における代表的な旧家で、明治初期より昭和初期まで酒造業で栄えました。15代当主の岩根猪五郎は村長を務めるなど郷土史に名をとどめています。
 約1000坪の敷地の南側は街道に接し、石垣の上部には瓦葺板塀がめぐらされています。敷地の東側には長屋門が置かれ、門戸は東面に開いています。内部には江戸後期と伝えられる主屋、酒蔵、奥座敷のほか、内蔵、茶室、物置などが設けられています。 主屋は桁行9間梁行4間、北に一間の下屋があり、また大正初期に主屋の西側に奥座敷が敷設された時期に、母屋の2階が改修され桟瓦葺入母屋造りとなりました。
 以上のように現在までにいくつかの増改築がなされましたが、8畳座敷、釜屋などの主要部は建てられたときの様子を今にとどめています。奥座敷は床棚を配した15畳広間と10畳次の間からなり、南北面に廊下を設けたもので天井は高くおおらかな書院座敷となっています。
 明治20年代の建築である酒蔵は当家において最も特色ある建築で、建坪約220坪で桁行10間、梁行6間の母屋に約3間幅の下屋が南北にわたる8寸勾配の切妻土蔵造りになっており、麹室より赤煉瓦の煙突が立ち上がっています。その麹室および事務室も一部煉瓦造であり、そこに暖炉が設置され特色ある設備です。階下には酒造りの道具や設備の類も良く残され当地の歴史を伝えています。なお、酒蔵は平成9年に維持のために修理工事がなされ、当初の桟瓦葺屋根がカラーベスト葺に改修されました。
 酒造蔵屋根の改修は惜しまれる思いもありますが、付庇をもつ大きな妻壁は街道筋からも望め、屋敷塀、長屋門とともに地域の史的景観を構成しています。また当家は江戸後期、明治期、大正期の建物が共存しており、近世末より近代にかけての民家の推移を伝えているものとして特異な価値があり、登録文化財の趣意に値する建築といえるでしょう。
 これらは大阪芸術大学建築学科教授の山形政昭さんの調査によって明らかになりました。
 なお、当岩根家住宅は、現在一般には公開されていません。
(平成20年8月号)