わたしのまちの文化財
歴史を語る古文書
 みなさんは、「古文書」という言葉をご存知でしょうか。古文書とは、中・近世から現在に至るまで、主に紙に書かれた歴史資料の総称です。その種類は、立派な墨筆の帳面から走り書きの紙片まで多岐にわたります。
 私たちが暮らす本市域にも、歴史を伝えるたくさんの古文書が今も大切に保管されています。これは、一般に地方(じかた)文書と呼ばれ、その家に直接関わる私文書と、代々の村役人の家に引き継がれる公文書があります。世襲されることが多かった役人宅は、その村の役所や寄合所としての機能も果たし、文書の多くがそこで作成され保管されていました。
 これらの文書をひも解くことによって、当時の村の様子や暮らしぶりが鮮やかに甦ってきます。例えば、ため池の利用をめぐる争論があったとします。その関係文書には、解決にいたる経緯や双方の主張が記されていますが、それだけではありません。池の名前の由来や、いつどうやって造られたか、どんな災害があったのかなど、私たちにとって、大変興味深い情報が盛り込まれていることがあります。
 そのほかにも、池周辺の小字名がわかったり、差出人を見れば、村役人の名前や人数も判明したりします。少し見方を変えるだけで、その文書が意図するところを超えて、いくつもの史実を得ることが可能なのです。
 このように古文書は、目に見える「モノ」としてだけでなく、目に見えないたくさんの情報を私たちに与えてくれます。私たちが先人から受け継いだかけがえのない知的財産として、地域のすべての人たちの手で守り続けてもらえればと願ってやみません。
 歴史は常に流れ、日々作られていきます。私たちの時代も、いずれはその1ページとなるでしょう。その時、「過去」を学ぼうとする人たちは、今の私たちの暮らしなど、想像もできないに違いありません。今の時代に生きる私たちは、未来に何を伝えられるか・・・。そのようなことを考えるのもまた、時には必要なのではないかと思います。
(平成17年2月号)